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2015年皆既日食報告 第二報:トナカイとオーロラ [オーロラ]

皆既日食第二報は観測地バレンツブルグとスヴァーバルトナカイ、オーロラ、皆既日食の全課程についてである。

3月17日(火)12:30成田発、デンマークのコペンハーゲン空港まで11時間30分。同空港で乗り換え、1時間15分でノルウェーのオスロ空港に現地時間19:20に到着した。この日はオスロ空港(ガーデモエン空港)に直結しているラディソン ブルー エアポートホテルに宿泊した。3月18日(水)10:30オスロ空港発13:25にスピッツベルゲン島のロングイェールビーンのスヴァーバル空港に着いた。ここからヘリコプターに乗り込み12分でやっと観測地のバレンツブルグに到着した。バスに乗り込み、宿泊先のバレンツブルグホテルへ。

●スヴァーバル空港
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↑  私

●バレンツブルグホテル
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オスロからロングイェールビーン、そしてバレンツブルグまで一貫して厚い雲で覆われていた。スピッツベルゲン島はスヴァーバル諸島9島の最大の島である。スヴァーバル諸島の3月の平均雲量は50%前後であることから、今回は晴れないかも知れないと不安だった。3月18日バレンツブルグ内を歩いてみると、そこらじゅうに人懐っこいトナカイが歩いていた。スヴァーバルトナカイというらしい。

●スヴァーバルトナカイ
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天候は怪しい。せめてオーロラだけでも見ておきたい。願いが届いたのか3月18日夜になって晴れてきた。ホテル周辺で見上げると淡いオーロラは時々見えていた。午前2:30まで見ていたが、明るいオーロラは見えなかった。

3月19日(木)午前、日食観測地の下見が行われた。バレンツブルグホテルからバスに乗り込み10分ほどで着いた。日食観測地は、バレンツブルグが捕鯨基地だった時代にクジラの解体場があった岬である。気温-20℃だが、風が強いため体感温度は-28℃くらいじゃないかとのことだった。日食観測地の中央に廃墟があった。強風を防げるので、観測地としてはここが最適かなと思った。この建物は天文ガイド観測隊の基地にもなった。

●日食観測地の岬
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     私  ↑

●天文ガイド観測隊の基地となった建物
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●日食観測地を歩くスヴァーバルトナカイ
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同日午後から、バレンツブルグ徒歩観光が行われた。バレンツブルグには、私たちのツアーの他に、クラブツーリズムのツアー者も来ていた。徒歩観光にはこの2つのツアーの30名ほどが参加した。バレンツブルグにはロシアの石炭発掘会社があり、住民400人はおもに炭坑に関係するロシア人たちである。ノルウェー領ではあるが、テレビもロシア語放送のみだった。

●ビール工場(左)と石炭発掘会社(右)
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●学校
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●炭鉱労働者のアパート群
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●炭坑とバレンツブルグ湾
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●バレンツブルグホテルとスノーモービル駐車場
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●スノーモービル駐車場とビール工場
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丁度大きな太陽嵐が起きていて、3月19日のオーロラ予報はレベル9/10と活発なオーロラが予想されていた。ホテル横のスノーモービル駐車場で見ていると、予想通り比較的明るいオーロラが出現していた。ただ、空自体に薄明があり、さらにホテルの明かりや炭坑のナトリウム街灯などで空がやや明るいため撮影条件は難しかった。撮影はEOS 5D MarkIII+Sigma 20mm EXDG、いずれもISO3200, F2.8, 露出6秒である。

●オーロラ(2015.03.19 22:37)
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●同(2015.03.19 22:42)
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●同(2015.03.19 22:42)
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●同(2015.03.19 23:02)
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●同(2015.03.19 23:03)
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●同(2015.03.19 23:19)
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第一報では3月20日の皆既日食部分だけを報告した。ここでは、日食のはじめから終わりまでの経時的変化を合成してみた。雲の多い時間帯は避けたため、撮影間隔は不定である。撮影はいずれもProminar 500mm+EOS 7D、皆既以外はアストロソーラーフィルターを使用した。

●皆既日食2015の経時的変化(2015.03.20 10:17:47〜3.20 12:10:41まで)
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午後からビール工場にあるレストランで日食成功打ち上げパーティーが開かれた。隣にいた同じツアーの参加者の方と彗星の話しになり、私は1970年のベネット彗星から、明るい彗星はだいたい見てきたと自慢げに話した。では、IRAS・荒貴・オルコック彗星は見たかと聞くので、見なかったが、有名な彗星だから名前は知っていると答えた。その方はその彗星の発見者だった(大汗)。帰りは来たときと同じ経路をさかのぼり、オスロのラディソン ブルー エアポートホテルに再度宿泊後、成田に戻ってきた。
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コメント 17

Mitch

皆既日食って、何度見ても素晴らしいですネ^^
天文ファンならずともはまってしまいそう。
by Mitch (2015-04-01 18:25) 

queso

野生のトナカイがこんなふうにホテルの傍にやってくるのですね。
日食も美しかったですが、オーロラもまた何とも美しいです・・・。
これもまた、肉眼で見たら更なる感動だったのでしょうね。
by queso (2015-04-01 21:44) 

Hiro

オーロラはいつか見に行ってみたいですが、いつになることやら^^;
皆既日食もオーロラも見れてお天気に恵まれて良かったですね。
4月4日の皆既月食はこちらは天気が悪そうで見れないかもしれません。
旭川は晴れ予報ですね。
by Hiro (2015-04-01 22:44) 

kinda

〉Mitchさん
皆既日食をハイビジョンで撮影したものも見ているのですが、やはり人間の眼にはかなわないです。肉眼で、あるいは双眼鏡で見る皆既日食はとても感動的な光景です。確かに「はまった」ひとたちがやって来ます。

〉quesoさん
オーロラ撮影のためにもっと遠くへ行った方もいたのですが、ライフルを抱えてパトロールする現地のヒトに、シロクマに襲われたヒトがいるので注意するよう言われたとのことです。ちょっと明るかったですが安全策をとりました。

〉Hiroさん
今季はアラスカでかなりの頻度でオーロラ爆発(全天がオーロラで占められる)が見られています。ここ2〜3年が太陽活動の活発なピークなので、オーロラを見るのに良い時期です(夏以外)。当初、4月4日(土)は全国的に曇り〜雨の予報でした。その後予報が変わり、北海道の雨は4月3日(金)に早まり、4月4日(土)は曇りのち晴れに変更されました。皆既月食も見られそうな感じになってきました (^^)
by kinda (2015-04-02 00:21) 

やなぼー

オーロラ
見てみたいですね~(*^_^*)
先月だったかな!?
北海道でも現れたようですが・・・(^_^;)
by やなぼー (2015-04-02 06:03) 

カズ

>IRAS・荒貴・オルコック彗星は見たかと聞くので~その方はその彗星の発見者だった

私もこの方と昨年のウガンダの皆既日食でご一緒でした。

そのときはこんな状況でした(↓)。

 「百武彗星は凄かった!地球に接近したからとても尾が長く見られた。そういえばもっと地球に接近し、球状の面白い姿を見せたIRAS・荒貴・オルコック彗星って見たことありますか?」
 「ハイ、発見者ですので。」
「!!!」
 ウガンダで皆既日食が綺麗に見え、盛り上がる当日夜のホテルでの夕食時、私の正面に座られた優しい顔をされたその方はそう答えた。
 日食の歓喜で各自ハイテンションの中、その皆既日食談義からお酒も進むにつれ、彗星の話題に入り、そして各々が過去に見た大彗星の話で盛り上がった場で、先の私の問いにその方が答えられたのである。(了)

 私もkinsaさんと同じようにオドロキました。今回、氏がスピッツベルゲン島に行かれた事は、このサイトでのご報告をお聞きして知りました。氏はこのウガンダで初めて皆既日食をご覧になったとの事ですが、どうやら氏も「日食病」に感染してしまった様ですね(笑)


by カズ (2015-04-02 11:11) 

kinda

〉やなぼーさん
オーロラのメッカはカナダのイエローナイフ、ホワイトホース、アラスカのフェアバンクスです。夏の時期以外ならかなりの確率で見えるはずです。太陽活動は11年ごとに活発になり、その時期にオーロラも活発になります。今年はそのピークで、3月19日に北海道の陸別や名寄で赤いオーロラ(低緯度オーロラ)が撮影されました(このblogのオーロラの日と同じ)。前回は2004年11月に撮影されましたので、確かに11年周期になっていますね。

〉カズさん
あら〜、そうだったんですか。荒貴さんもアフリカから北極まですごいですね。私の出身の北海道の帯広は晴天率の高いところで、いつも晴れています。夜明け前に見たベネット彗星の美しさに魅了されて以来、星を見続けています。天文学とは無関係な領域で生きてきたのと、田舎で趣味で見ていただけなので、天文の領域で名をはせている方に直接会ったことはありませんでした。ので、ビックリした訳です。

どこかの日食でカズさんにお目にかかることがあるかも知れませんね。
by kinda (2015-04-02 23:20) 

テリー

オーロラ、一度実物を見たいですね。
by テリー (2015-04-03 22:32) 

kinda

〉テリーさん
4月から9月は北半球では夏期のためオーロラがあまり見られない時期になります。それ以外の時期にオーロラツアーを検討してはどうでしょうか。お勧めはアラスカ、カナダです。とくに昨年から来年くらいは太陽活動が活発でオーロラも出やすいと思われます。
by kinda (2015-04-04 10:48) 

Nori

オーロラ良いですね~。これは最高に良いツアーになりましたね。
私も10年以上前にフィンランドのレヴィという町にオーロラを見に行きました。その時はオーロラ爆発が起こり最高の経験をしたのですが当時はろくな撮影機材も持っておらず今になって後悔しています。
もう一度行こうと妻と話していましたがkindaさんの写真を見て再燃しています。
本当に素晴らしい経験ですね。

by Nori (2015-04-04 22:14) 

kinda

〉Noriさん
コメントありがとうございます。今回は晴天率50%くらいで、現地に着くまで厚い雲に覆われていたためたいへん不安でしたが、結果的に皆既日食もオーロラも見られて良かったです。同じ頃、アラスカではオーロラ爆発が一晩で3回も見られたようです。昨年〜来年くらいがオーロラ観察の好期と思われます。
by kinda (2015-04-05 00:25) 

yatsu

同じツアーに参加していたyatsuと申します。
日食のときは、すぐ右隣で撮影をしておりました。(天文ガイド誌5月号83ページで奥様の右隣に写っているのが私です。)

ブログの第一報、第二報ともにたいへん楽しく拝見いたしました。
日食のお写真、ほんとうに素晴らしいです!
同じ場所で同じものを撮影したのに、こうも違うのか!と衝撃を受けました。
私は今回初めて日食を撮影したのですが、撮影の難しさを痛感いたしました。

前夜のオーロラは、現地の人の注意を振り切って港に行って観望いたしました。そこにもオレンジ色の街灯があり撮影は難しかったですが、ふたご座方面にかかるオーロラや、「天頂より南にある」北斗七星から降り注ぐオーロラを肉眼で楽しみました。
(シロクマと遭遇しなくて幸いでした。)

今後ともブログを拝見させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。


by yatsu (2015-04-22 20:12) 

kinda

〉yatsuさん
あら〜、ありがとうございます。当方国内の金環日食を含めて5回目の日食遠征でした。今回がもっとも遠いところです。皆既日食は3回目で、雲は多かったですが、3回目にして初めて皆既日食の全課程(第2接触〜第3接触)が見られました。前回ケアンズでの撮影では、途中でフォーカスが甘くなり、架台のブレもでました。今回は赤道儀ではありませんが、三脚とビデオ雲台をグレードアップし、フォーカスに注意しました。今後は赤道儀と多数の露出によるコロナ撮影が目標です。

今回、オーロラ撮影はちょっと物足りなかったです。天頂から降り注ぐオーロラを見たのは良かったですね。編集長さんも日食観測地くらいまで歩いて、降り注ぐようなオーロラを見たといってました。

またどこかの日食でお目にかかるかもしれませんね。
by kinda (2015-04-23 01:12) 

yatsu

コメントにお返事をいただきまして、ありがとうございます。

私も皆既日食は今回が3回目でありまして、今回はじめて全過程を観望しました。

初回は2009年、奄美大島に遠征しましたがかろうじて部分食を見ただけでした。

2回目はケアンズのアマルーでしたが、第二接触と第三接触は雲の中でした。しかし、雲の隙間からいきなり皆既日食が出現したため、たいへん衝撃を受けました。真っ黒の太陽(いや、月ですね)とその周りの眩いばかりの内部コロナの美しさは想像をはるかに超えたものでした。その晩はケアンズの酒場で「コロナビール」で祝杯をあげたことは言うまでもありません!

次回のインドネシアですが、外務省のHPで渡航注意区域に指定さていますので、迷っております。再来年のアメリカは必ず行くつもりです。

追記:
Kindaさんは私と同業のようです。
しかしながら、私は情報処理やデータ管理がきわめて苦手ですので、Kindaさんを尊敬いたします。
by yatsu (2015-04-30 22:26) 

kinda

〉yatsuさん
皆既日食ツアーは、私も上海、ケアンズ、スピッツベルゲン島の3回なので同じですね。また、インドネシアもどうしようか考え中で思考過程が同じです。今回のツアー参加者では、黒須さんが皮膚科医でした。まだ同業者がいるかもしれません。私の作成したiPubMedMakerとTheご紹介のダウンロード数は、数年前までに7万件くらいありました。その後カウントしてないですが、かなり多いようです。最近、更新をサボっていますが、Theご紹介についてはもう少しでアップグレード版をだす予定です。
by kinda (2015-05-01 06:25) 

yatsu

天文ガイド6月号ご掲載、おめでとうございます!!
紙面でも素晴らしいお写真を堪能させていただきました。

kindaさんは、医学・医療に多大なご貢献をされているのですね。
尊敬いたします。
日々の臨床だけですと、私の場合(麻酔・集中治療)は、年間せいぜい500人くらいの患者様しか診療できませんが、kindaさんの貢献度は圧倒的だと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。
by yatsu (2015-05-03 17:21) 

kinda

〉yatsuさん
あら?そうでしたか。今日書店に行ってきました。こちらでは天文ガイド6月号まだ出てません。実は5月1日〜3日弘前の桜を見に行ってましたが、持って行った天文ガイド5月号を夜行列車に置き忘れてしまいました。せっかく自分たちが写った号なので、記念のため2冊目の天文ガイド5月号を買ってきたところです。

1999年ころからFileMakerで作った医用データベースを公開しておりました。現在、J-SUMMITS(日本ユーザーメード医療IT研究会)の幹事の一人です。最近、更新をサボっておりますので、またぼちぼち更新版を作成しているところです。という訳で、そんなに医学に貢献しているとは言えないんですよ。

情報たいへんありがとうございました。
by kinda (2015-05-03 21:02) 

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